観劇『三文オペラ』(昨日の感想)

歌謡ショーを観にいくつもりで観にいったら・・実はパンクのライブだった!ぐらいな衝撃です(苦笑) それだけジャンルの違うモノでした。(トゥーランドットとの比較で言うと) 以下、ネタバレ全開なのでご注意を。 それと一番初めに言い訳しておくと、『三文オペラ』自身の“観る側に伝えたいコト”の予備知識が無いままの私なので、どこまでがオリジナルで、どの辺が宮本亜門Verなのかも区別がついて無いコトを前提に以下の感想です。 んっでも、会場で購入したパンフを読むとラストのエンディングのあの流れはオリジナルを踏襲してるみたいですね(演出のしかたは別としても)ワザとああいうオチにしていると。だとすると、ホントにイヤらしい作品だなー、わざと怒らせてその挑発にまんまとのってしまったのかーオレ(笑) 主な登場人物が"乞食商会"の悪玉親子、窃盗団、売春宿、友情と腐敗で板挟みの警視総監とか、一般の人は普段は目を背けている世界でのお話がメインで、唯一まともに悩んでいるのは友情と腐敗で板挟みの警視総監ぐらいで、残りの登場人物は皆欲望のままに自由に人生を謳歌している人々。あ、あとメッキメッサーを裏切る娼婦のジェニーも普通な人に属してるのかも。 そんな感じで普通な(ある意味偽善で、禁欲的な人々、つまり観客側に)に対して皮肉たっぷりに放たれるコトバの数々。情報過多でとっても一度では聞き入れられない歌詞の数々。できれば字幕スーパーで同時に舞台脇に歌詞も表示して欲しいとマジで思ったよ(笑)いや、ホントに。難解で聞き取れる歌詞を漢字に頭の中で変換している間に、すでに歌は別のフレーズに行ってる感じ・・(あと今回私が観たのが2階席のうしろのほうだったので歌そのものが聞き難くかったのもあるかもしれない) それとメッキメッサーの外観がマイケルジャクソンに重なってしまう(笑) 安倍さん演じるポリーは確かに“こんな安倍なつみは観たことない”なキャラ設定なんだけども、きっと素な安倍なつみのどこかには(と、言うか安倍さんに限らず人の欲望として誰もが持っている一面)有るんだろうなーという一面を強調して演じていたので、違和感は無い感じ。って言うか、きっと“裏なっちってこんな感じ?”って思ったのはオレだけ?(苦笑)ただしその二面性はなっちに限らずだれでも持ってる欲望なので、それを理性で抑えている普通な人か、そうではなく自由奔放に生きていく人かの違い。 デーモン木暮閣下の普段の言動ってほとんど知らないので、その分、今回の"乞食商会"の悪玉親分って設定は(見た目も含めて)すごく自然というか、ピッタリな感じ。ただパンフを読むと“自身の素の設定である“悪魔”とは違うモノを求められていたので云々”と書いてあったけども(苦笑)、親ばかで、ずるくって、皮肉一杯なキャラはハマリ役ってふうに見えました。 三上さん演じるメッキ・メッサーって・・・役としては悪者役で、自由奔放で周りを引っかき回すような人なんだけども・・・なんかまだそう言う人が憑依してるようには見えなくて(演劇素人なオレがこんなコト言うのはおこがましいのですが)、『きっとこの人、素は実直でイイ人なんだろうなー』みたいに見えてしまったのですが・・・なんて言えばイイのか判りませんが、ある意味(キャラ設定としての)打算的な面とか、人としての弱さとか、そっちのほうが前に出ちゃってて(そういう演出、作品なんでしょうねーきっと)三上さん自身というよりも『三文オペラ』としてのメッキ・メッサーとしてのぶっ飛び度合いがモノ足りなーとか・・・今、頭の中で観劇の思い出を反芻してみると・・そんな感じがします。 ここまで感想書いているウチに、『あーそう言うコトか!?』と思える部分があったり、(宮本亜門Verってきっとあの演出のああいう部分が・・とか、オリジナルと同じでこの劇で言いたいコトってアレなの?)とか・・・ あと、音楽劇なんですけど・・パンフを観ると『前衛音楽家』とありますが・・そうか・・そっち系の音楽だったんですね・・どうりで(苦笑)前衛音楽とか言うと私の中では『ロキシーミュージック』ぐらいしか思い浮かばず(ロキシーは違うだろ!とか怒られそうですが)それぐらい縁遠いジャンルですけども、まったくダメってワケでは無いので、『そういうモノ』として聴けば聴けるのかも。ただし今回の場合は最初のほうにも書いたように歌詞も相当に重要なんですけども・・・耳になじみが無いコトバが多いようで・・相当ハードルが高いです。 それと劇に最初のほうに登場する舞台セットの大きなテーブルが人の上半身の裸体でかつ、内臓見えまくりな裏側の作りとかを観て、『え?そっち系(近代アートのような)の舞台なの?』って思ったたら・・まさにそんな感じでした。舞台中央に設けた砂場(これ観て、前に横浜ビエンナーレでみた高嶺格さんの鹿児島エスペラントを思い出しました)客席(2階席)にまで貼ってあるCAUTIONの注意書きテープ。実際に水まいてびしょびしょ・・売春宿の矢印というかレッドカーペットを模した床。卑猥なマーク。この辺の舞台装置は観ていて刺激ありました。 そんな感じの第一印象ですが・・できれば次回は一階席の中央あたりでちゃんと音楽と歌詞が綺麗に聞き取れる席で観てみたいかな・・お話よりも音楽重視で!